会長挨拶

第60回日本肺癌学会学術集会
会長 光冨 徹哉
近畿大学医学部外科学教室呼吸器外科部門主任教授

 この度、第60回日本肺癌学会学術集会を2019年 12月6日(金曜日)から12月8日(日曜日)の3日間、大阪国際会議場で開催させていただくこととなりました。昨今のめざましい臨床から基礎にわたる肺がん研究の成果を発信する最高の場をお世話できますことは誠に光栄であり、会員の皆様に深く感謝申し上げます。
 学術集会のテーマは「Toward a World without Lung Cancer」といたしました。現時点では机上の空論かもしれませんが、近年のprecision medicine、低侵襲治療、分子標的治療、免疫治療などの進歩はめざましく、決して絵空事ではないとも思えるこの頃です。
 しかしながら、現在わが国だけでも毎年75000人余、全世界では160万人ものの尊い命が肺がんのために奪われていることも事実です。治療の進歩に相俟って肺がんと共に生きておられる方も増えてきました。これらの患者さんによりよく生きて頂くためには医師以外の医療従事者、患者家族、そして患者さん自身が一丸となって肺がんに向かっていくことがとても重要です。従いまして、本学会では最新の医学の進歩を発表議論して頂くほかに、予防、検診、チーム医療、アドボカシー、緩和ケアなどの側面にも配慮したプログラムを編成したいと思っております。
 一方で、最新の研究成果をいち早く効率的に臨床応用していくためには、国際協力がますます重要になります。このため本学術集会では、海外の著明な専門家を招聘し共に議論する英語のセッションをふやします。また、海外とくにアジアの諸国からの一般演題をトラベルグラントも用意して積極的に誘致する所存です。このことが次世代を担う若い医師の刺激となり世界を目指すきっかけとなることを祈っております。
 人間で言うと還暦という節目になる今回の学術集会です。60周年企画をプログラムに盛り込むほか、肺がんの歴史をまとめた冊子を当日配布すべく鋭意作成中です。医師、医療スタッフ、患者さんとご家族、企業の方、肺がんに関わるすべての参加者にとって来て良かったと思って頂ける学術集会をめざして教室員一同、全力で準備する所存であります。皆様の来阪を心よりお待ち申し上げております。

2019年3月吉日