会長挨拶
第67回日本肺癌学会学術集会
会長 山本 信之
和歌山県立医科大学医学部内科学第三講座
呼吸器内科・腫瘍内科
第67回日本肺癌学会学術集会を担当させていただきます、和歌山県立医科大学内科学第三講座の山本信之でございます。本学術集会は2026年12月3日~5日にかけて、神戸市の神戸コンベンションセンターで開催させていただくことになりました。
さて、現実社会世は、近年不安定な状況が続いております。例えば、世界平均気温が観測史上最高を更新するなど、地球温暖化を初めとした異常気象や、ウクライナやイスラエル等、様々な地域での国際紛争がその代表的なものになります。これを、日本に目を向けますと、気温の上昇や国際関係の緊張のような外的要因だけではなく、少子高齢化・人口減少等を原因とする労働生産性の低迷とそれに伴う国際競争力の低下等が問題となっており、その中でも、特に医療は、人材不足・経営状況の悪化から崩壊の危機に瀕しています。
そのような状況下でも、サイエンスは着実に進歩しており、その中でも情報処理技術の発展は目覚ましいものがあります。ある仮説では、2045年にはシンギュラリティ、すなわち、人工知能AIが人間の知能を超え、人間の理解や予測を超えた技術革新が起こるといわれております。
このような中々先を見通せない、不安定な時代であるからこそ、後ろを振り返らず、未来を見つめて、未来に期待し、新しい医療技術・治療方法の開発にかける研究者を応援したいという気持ちを込めて、本学術集会のテーマを、「命のキャンバスに未来を描く~シンギュラリティの先に向かう肺癌治療~」とさせていただきました。ポスターは、ヤマタノオロチを模した怪獣が肺癌を攻撃し、その周りに、私以外は将来のある若い医者(外科医、放射線科医、緩和医療医、AI研究を糧としている医学生)を配置しておりますが、近い将来に到来するであろう圧倒的な科学の進歩を怪獣と見立て、若い研究者たちが、それを上手に利用して肺癌を撲滅する未来をイメージしております。
本学術集会では、40人程度の素晴らしい若手研究者にプログラム委員として参加していただき、従来通りの、内科、外科、放射線科、病理、基礎医学/TRの分野はもちろんのこと、私自身の特色を生かして、Patient and Pubulic Involvement、支持医療、データベース/レジストリ等についても、数多くのプログラムを検討していただいております。また、テーマにシンギュラリティをつけている通り、本学術集会の特色の一つをAI(Artificial Intelligence)と位置付けおり、その関連の企画・催し物も準備しております。さらに、特別講演には、他分野の非常にご高名な我が国の研究者(複数名)が内定しております。
肺癌学会員だけではなく、それ以外の方々(その他の医療関係者、患者さん、そのご家族の方、一般市民の方)にも、刺さる企画を用意させていただきますので、ぜひ多くの方にお越しいただいて、肺癌診療の未来に期待し、議論していただければと思っています。