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会長挨拶

第62回日本肺癌学会学術集会
会長 野口 雅之
(筑波大学医学医療系 診断病理学)


第62回日本肺癌学会学術集会を、2021年11月26日(金)、27日(土)、28日(日)の3日間、横浜パシフィコ ノースにて開催させていただきます。

ご存知のように、日本肺癌学会は臨床(外科、内科、放射線科など)と基礎(病理、分子生物学、免疫学など)が一堂に会して、肺癌を中心とする胸部腫瘍全般の基礎、診断、治療について直接議論できる極めて有意義な学会です。幅広く肺癌、胸部腫瘍のup to dateを知り、将来の研究、診療に生かすアイデアを討論できる場です。今回、この様な学会をお世話できることに誇りと責任を感じます。

個人的には20年以上に渡り、肺癌の発癌研究、診断に携わってきて感じることは、気管支鏡の開発による初期扁平上皮癌の発見治療に始まり、CTによる肺腺癌の発見治療が飛躍的に進歩したことです。一方で、化学療法、分子標的治療薬や免疫関連治療薬の開発、陽子線治療など最新の放射線治療法の開発などにより、非手術例の治療選択が多角化してきたことで、現代の肺癌診断治療は極めて複雑化しているように思います。特に、腫瘍内科医は臨床試験研究に費やす時間が増え、またその結果の解釈も真のサイエンスのレベルに引き上げられました。さらに、次世代シーケンサを始めとする様々な機器開発で肺癌のゲノム異常について極めて広範囲な解析が可能となり、有り余る情報を処理、理解、解釈していく必要に迫られています。

今回のテーマは、“Lung cancer - back to basics 肺癌を学び直そう”としました。私たちは複雑化・多角化した現代肺癌学に追いついていくことで精一杯という日々を送っていないでしょうか? 私は、これまで我々が積み上げてきた肺癌学をさらに活かすためにも、本学会でもう一度肺癌学の原点に立ち返って、今後、我々がどのように肺癌と闘っていくべきかを討論できればと思います。その中にきっと日本の肺癌研究者や臨床医が将来に向けて行わなければならない、挑戦することを望まれる事項がたくさん見つかるはずです。もう一度基礎に立ち返って肺癌を考えてみようではありませんか。

未だ猛威を奮う新型コロナ肺炎状況下ですが、出来る限り会員の皆様が直接顔を合わせて、実りある研究発表、討論さらには親睦ができる学術集会にするよう努力いたします。2017年に世界肺癌学会を行った横浜の地で、是非もう一度集いましょう。心より多くの会員の皆様のご参加をお願い申し上げます。