第61回日本肺癌学会学術集会

会長挨拶

第61回日本肺癌学会学術集会の開催にあたって
「肺癌撲滅を目指して2020」

第61回日本肺癌学会学術集会
会長 木浦 勝行
岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科

 この度,第61回日本肺癌学会学術集会を2020年11月12日〜14日にホテルグランヴィア岡山とANAクラウンプラザホテル岡山・岡山コンベンションセンター・岡山シティミュージアム・岡山県医師会館で開催させて頂きます。この伝統ある学術集会を担当させて頂くことは,とても名誉なことで,岡山大学肺癌グループをあげて担当させて頂きます。
 進行肺癌は治らないがんの代表であり,1996年以来日本人癌死亡の第1位であります。ここ数年,その増加に歯止めがかかったとは言え,難治性がんの代表であることに変わりありません。治癒を最終目標とした治療は外科医の先生方のご努力がとても大切であったと考えます。しかしながら,外科的切除のみで治癒をめざすには限界もございます。私が悪性腫瘍の治療にかかわり始めた30年前でも白血病,悪性リンパ種などは既に化学療法のみである程度の治癒が約束されていました。限局型小細胞癌では放射線療法と化学療法を併用することによりある一定頻度で治癒する可能性はありましたが,進行非小細胞癌ではシスプラチンをはじめとする抗悪性腫瘍薬が多数開発されたにもかかわらず,症状緩和と延命が目的の治療と言われても仕方ない状況であり,治癒を目指すにはあまりにも悲惨な状況が長く続きました。2000年代に分子標的薬が登場し,比較的長期に優れた抗腫瘍効果が続くため,非小細胞癌が高血圧・糖尿病のような慢性疾患になる期待が生まれ,現在のゲノム医療に繋がっています。さらに免疫チェックポイント阻害薬の登場は,“治癒を最終目標とした進行肺癌の治療”という言葉も“夢物語ではない”状況になっています。
 しかしながら,今なお7万人を超える多くの患者さんが亡くなっていることも事実であります。肺がんの発がんのメカニズム,喫煙,石綿,大気汚染などの発がん性物質からの曝露の予防,化学予防,低線量CT検診による早期発見,AIを利用した病理診断,ゲノム診療,二次発癌,早期緩和ケア,患者・家族ためのプログラム,チーム医療など,薬物療法以外にも多くの研究課題が山積みされております。肺癌基礎・臨床研究,実地診療,看護,肺癌を取り巻く社会的問題を一歩でも二歩でも進めるべく,多くの先生方,メディカルスタッフ,患者・ご家族と一緒に岡山で討議・討論させていただくことを楽しみにしております。
 それでは岡山でお待ちしております。
令和2年1月吉日