第61回日本肺癌学会学術集会

会長挨拶

第61回日本肺癌学会学術集会の開催にあたって
「肺癌撲滅を目指して2020」

第61回日本肺癌学会学術集会
会長 木浦 勝行
岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科

 この度,第61回日本肺癌学会学術集会を2020年11月12日(木曜日)〜14日(土曜日)にホテルグランヴィア岡山・岡山コンベンションセンターを中心とした5施設で開催させて頂く予定です。2019年12月末に中国武漢で発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はわが国を含め全世界で猛威を振るい,内外の多くの学術集会が中止,延期, Web開催に変更されております。
 このような状況で本学会を開催するか否か、行政との話し合いを含め事務局で慎重に検討させて頂き,十分な感染対策を実施した上で現地on siteとWebでのHybrid開催(一部現地開催のみ,オンデマンド併用)で実施することを9月初旬に決定し,常任理事会の許可も頂きました。
 このような厳しい状況下ではありますが、1238題(公募演題1081題 指定演題157題)の応募を頂き,プレナリー4演題,シンポジウム12企画,ワークショップ20企画,アンコールセッションなどを組むことができました。また,緊急企画“COVID-19流行下における肺癌治療”も設けましたので,COVID-19診療の参考になるのではと思います。
 治らないがんの代表である進行肺癌は,1996年以来日本人がん死亡の第1位であり,ここ数年,その増加に歯止めがかかったとは言え,難治性がんの代表であることに変わりありません。私が悪性腫瘍の治療にかかわり始めた30年前でも白血病,悪性リンパ種などは既に化学療法のみで一定の割合で治癒が約束されていました。進行非小細胞癌ではシスプラチンをはじめとする抗悪性腫瘍薬が多数開発されたにもかかわらず,症状緩和と延命が目的の治療と言われても仕方ない状況であり,化学療法のみで治癒を目指すにはあまりにも過酷な状況が長く続きました。2000年代に分子標的薬が登場し,現在のゲノム医療に繋がり,長期生存は可能になりました。さらに免疫チェックポイント阻害薬の登場によって,“治癒を最終目標とした進行肺癌の治療”という言葉も“夢物語ではない” 状況になっています。
 本学術集会では薬物療法以外の禁煙,低侵襲手術,低線量CT検診による早期発見,AIを利用した病理診断,画像診断,ゲノム診療,間質性肺炎合併肺癌や高齢者の問題,早期緩和ケア,患者・家族ためのプログラム,チーム医療,医療保険制度など肺癌を取り巻く最新の話題にも幅広く焦点を当てており,多くの先生方,メディカルスタッフ,患者・ご家族,行政当局、製薬企業の方々の活発な討論を期待しております。
 COVID-19パンデミック下での開催となりますので,感染対策には十分ご留意の上で皆様の学会へのご参加を心よりお待ちしております。
令和2年10月吉日